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かごしま歴史街道

冬の使者『ツル』


鶴  鹿児島県の北西部に位置する出水平野には、毎年冬の使者として10月頃からツルが渡来してくることはよく知られています。中でも、出水市荒崎にある荒崎干拓の休遊地には毎年10,000羽を超えるツルが渡来しており、遠く2,000キロも離れたシベリアからやってきた冬の使者を見ようと、ツル観察センター周辺は多くの観光客やバードウォッチャーで賑わいます。
 現在、出水平野では主にナベヅル・マナヅル・カナダヅル・クロヅル・ナベクロヅルの5種が観測されており、これまでに世界のツル15種のうち7種が観測されています。
 大正10年3月3日に国指定天然記念物および禁猟区の指定を受け、昭和27年3月29日には、国の特別天然記念物『鹿児島県のツル及びその渡来地』として指定を受けています。また、平成8年6月には、環境庁の『残したい日本の音風景百選』にも選ばれています。
 多くのツルがこの出水平野をねぐらにするようになったのは、元禄8年(1695)に島津藩が財源確保のために、出水市荒崎地区一帯で行った干拓事業が由縁といわれています。渡来の季節にはV字に群れを成して大空を舞い飛ぶ光景がしばしば見受けられますが、先頭のツルの羽ばたきで翼端渦(よくたんか)という上昇気流を発生させ、後尾のツルはその揚力で楽に飛ぶことができ先頭を交代しながら群れ全体で省エネ飛行をしているのだそうです。上空で気流を探しながら、ゆっくりと編隊を変え飛びゆく様は、寒々とした冬の景色に凛々しく映えます。

鶴

■越冬中のツルの様子
鶴 ツルは雑食の鳥であり、水中のドジョウや土中のミミズなどを嘴で器用に掘って食します。また、眠る際には川や池の浅瀬や、浅く水が張られた水田などを選び、頭を羽の下に入れて寒さを凌いでいますが、天敵が来た際にはすぐに応戦・逃避できるように片足立ちの格好になっています。出水平野では、北帰行に備えツルがゆっくり休息できるよう保護区の借り上げを行い給餌や羽数調査、健康診断などを行うなど、地域をあげて保護活動に取り組んでいます。
■ツルの乱獲と再来
 現在は保護鳥として大事に扱われていますが、その昔は美味な鳥として朝廷に献上されたり、殿様の御膳に登場し宮中料理として好まれ食されたりしていたこともありました。薩摩藩も保護活動の一環として一般の人には禁猟令を布いていたものの、明治の中頃には出水平野のツルも他県から入ってきた狩猟者の乱獲によって激減し、全く飛来しなくなったという史実も残されています。
 明治28年に狩猟法を制定し、ツルが保護鳥に指定されてから、徐々に出水平野へも再来するようになりました。
■吉祥の象徴
鶴 花鳥風月の言葉もあるように、古くから日本文化のどこかしこに鳥が密接にかかわっており、中でもツルは一度つがいになると一生添い遂げることから夫婦円満の代名詞とされ、絵画の題材や縁起物の意匠として取り上げられています。
 全国でも3県でしか見ることのできないツルの飛来。天然記念物という視点だけでなく、私たち日本人にとって非常になじみ深い縁起物の渡り鳥として目を向けてみると、大空を優雅に飛翔するツルを格別な思いで眺めることができるかもしれません。

鶴 昭和32年ごろから出水市に通いツルの調査・研究・保護活動を行った北九州市立大学の故 古賀一夫教授(平成5年に死去)の活動を称える歌碑。
平成21年11月に同窓生らによって建立された。 歌碑にはツル保護を思う教授の辞世の句が彫られている。

『願わくは鶴去る頃に我往かむ 翅風に乗りてシベリアを観む
 孫爺と出水の空をかけ廻り ツル来る里を永久に守らむ』



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