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かごしま歴史街道

鹿児島と六月灯(ろっがっどう)


 鹿児島の夏の風物詩といえば、「六月灯」。
 鹿児島では「ろっがどう」と呼ばれる夏祭りで、7月から8月までの2か月間にわたり県内各地で開催され、たそがれとともに寺社の境内や参道には灯籠や提灯が彩られ、訪れた人々を幻想的な世界へと誘っています。
 この六月灯の由来は、島津19代藩主久光公が新照院(現在の新照院町)の上山寺の観音堂を再建した折、旧暦6月18日に沿道に灯籠を掲げ、道の明かりにしたのが始まりといわれています。また、全国的にある神社への献灯の習慣、あるいは種子油を神社に献じて人馬の無病息災と病害虫の根絶を祈った「お灯明あげ」が始まりという異説もあります。
 県内で最も規模が大きいのが、島津28代斉彬公を御祭神とする照国神社の六月灯で、御祭神の命日16日を頌徳祭、15日を前夜祭として斎行しており、2日間で約20万人の人出があります。毎年、大小1000個あまりの灯龍が献灯され、参道には200の露店が軒を連ね、打ち上げ花火が夏の夜空に色を添えます。

荒田八幡宮で毎年奉納される「霧島九面太鼓」。霧島九面太鼓保存会による九面太鼓は、霧島神宮の宝物に保存されている九つの面と伝え継がれている「天孫降臨」の神話をもとに、太鼓を使って表現したもので、霧島市牧園町の民族芸能無形文化財に指定されている郷土芸能太鼓である。

 また鹿児島神宮の別宮として、天文21年(1552年)島津貴久公により現在地に再興された荒田八幡宮では毎年、初日に霧島九面太鼓が奉納されます。御神木の楠の大木が覆う静寂な境内に響き渡る太鼓の音は、迫力と神々しさがあり参拝客を魅了してやみません。
 この他にも、知覧の豊玉姫神社では用水路にかかる水車を動力として、人形を動かす伝統芸能「水車からくり」が上演されます。現在は国の選択無形民俗文化財として「薩摩の水からくり」という名称が付けられており、六月灯に合わせて毎年昔話や神話を演目として上演され、多くの見物客で賑わいます。
 2か月間にわたって毎日どこかで行われる六月灯、鹿児島独自の夜祭りを、ぜひ皆さんもご堪能ください。



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