・日本企業7期ぶり減益へ:トヨタ2Q決算より
営業利益の予想は期初の1.6兆円から6000億円へ下方修正され、今後は営業赤字の可能性すらマーケットでは指摘されている。これは為替の急激な円高と、金融不安の影響が大きく、この2つは1企業の力ではいかんともしがたい要因である。決算会見で木下副社長の「業績回復は来秋以降」とのことばがあったが、トップの人間が「見通しが立たない」とはいえないため、「経営陣にもよめない」と解釈するのが妥当であるといえる。
・進む合理化とコストカット
@イオンの直接仕入れ拡大
従来日本の小売業は中堅、中小企業が多数あったが再編が進み、イオングループ、7&Iグループの2強体制へ再編されていった。その結果、メーカーとの交渉に際し、卸を通さなくても直接交渉が出きるようになり、その動きが加速している。
A破綻企業の急増
上場企業の破綻数は31社(12月2日現在)と最悪の数字であるが、年末を向かえさらに増える可能性ある。
2.グローバリゼーションの恐怖
グローバリゼーションは一般的には国際化と訳されるが、私的には超合理主義と解釈した方が意味が通りやすい。国際社会の中において日本の常識は通用せず、国際的な共有できる常識というものは少なく、合理主義的発想はその中でも共有しやすい項目である。そのため、国際化の進展は超合理主義の加速ともいえる。原理原則についての例外が支配的な部分もある日本においては大きな変化を受け入れざるを得ない状況となっている。
・日銀の超低金利政策と円キャリートレード
低金利政策の維持が世界の資産バブルを生んだとの意見もある。
・レバレッジバブル
・CDSの広がり
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は債務不履行に対する保険である。しかし、保険の引き受け手が結果として引き受けすぎていた現状がある。
・商品市況の乱高下
@原油価格
7月高値から1/3水準へ
Aバルチック海運指数
5月高値から1/10以下の水準へ
3.世論と経済
「振り子の原理」とは左へ大きく振れると同じ幅でその後は逆に振れる現象をいう。具体的には資本の論理が支配的になりすぎると、その後はその反動で資本主義を否定する議論が広がる。理想は両者のバランスであるのだが、バランス感覚はまちまちであり、極端な方向に振れながら落ち着きどころを探る。はやり廃りというのは極端な方向まで走りやすいと言える。
GMを救済すべきか?
相当の痛みを伴う改革案が提示できなければ世論の支持は得られず、安易な救済策とはならない。つまり、相当の賃金カット、リストラは不可避といえる。
定額給付金は是か非か?
選挙対策のために実施しようとしているといわれるものの、実際には給付金はほしいが選挙では投票しないというものが世論調査では多く、支持率アップにはつながらず。
景気対策の必要性に関する認識の差
海外景気に敏感な職種ほど実感があるが、全体的にはまだトーンが上がらない。鹿児島の経済の場合も東京経済からは遅れて実感することが多く、今後時間とともに厳しい展開が予想される。
政治的には不況であるがゆえに、追加景気対策の議論が出てくるのだが、認識に対して差があるため対策は遅れることが多く、遅くなるごとに大規模になる。そして大規模な対策の効果はさらに次のバブルを招いてしまうことが多い。2010年にはバブルの可能性もある。
4.中長期的テーマとして
・世界の水不足問題と自給率
農水省では、現在の自給率39%のアップを図ろうとしているが、その場合、日本でも水不足の可能性が指摘されている。WTOでは国際的に先進国の農業保護への補助金削減について合意されている。それは農業の効率化を欠いた、保護主義的な策だと新興国の農業をつぶす可能性があるためであり、日本も自給率アップのために過度な農業保護はしづらいと言える。つまり、日本の農業は輸出でき国際的にも競争力のある産業への転換が必至。農地の有効活用などこの分野へは現実に規制緩和が相当数必要であるといえる。
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