第3回目、テーマは『今、何を学ぶべきかー環境教育について考える』 180名の参加者を迎え、会場は熱気に包まれた。
「第3回4世代フォーラム」(鹿児島西RC主催)は2月16日、鹿児島市の県民交流センター大ホールで開かれ、会員や関係者ら160人が集まり、壇上での討論の展開に熱心に耳を傾けていた。
今回のテーマは「今、何を学ぶべきか―環境教育について考える」。討論に先立って古木圭介会長が挨拶を兼ねて基調報告、「私たちは今、地球自然の環境汚染、人口増、エネルギー不足、食料不足といった問題に直面している。次の世代にこの地球をどんな形で残せるだろうか。われわれの暮らしのなかにもっとエコ感覚を取り入れていく必要があるのではないか」などフォーラムの狙いを訴えた。続いて「地球が危ない」と題する同日のテーマにあわせた映像が紹介され、討論に入った。
同日のパネラーは吉武和臣さん(鹿児島西プロバスクラブ幹事)、深尾兼好さん(当クラブ会員)、佃三善さん(鹿児島西ローターアクトクラブ会員)、山元夕起絵さん(本年度2730地区GSEメンバー)、鹿児島西インターアクトクラブの池田翔平君(鹿児島高校2年生)、宇都寛高君(鶴丸高校1年)の6人。コーディネイターは南徹会員が務め、「われわれは環境という言葉に踊らされていないか。ディスカッションを通して問題を深めよう」と呼びかけた。
パネラーからは、「環境問題で学ぶべきものは、自然を愛し自然との対話の中から生まれてくる。対象を深く理解しようとすることが大切だ」「二酸化炭素排出量をなぜお金に換算するのか分からない」「石油系の商品はリサイクルが難しい。再利用できるものできないものをキチンと分けるべきだ」「環境は人が住まなければよくならない。地域で自活できることが大切」「開発途上国は環境どころではない。大国のエゴでなく地球全体の問題として考える必要がある」など、各面からの意見が出された。
2時間近くの白熱した討論のあと、パネラーはそれぞれに「世代を超えて話し合うのはいい。お互い意見が対立することで自分を磨くことができる」「環境をテーマにしながら人について考える討論会になった」「世代を超えた議論がもっと広がればいい」「みんな鹿児島が好きだということが確認できた」「愛する方法を知ることが、そのまま環境を守ることになる。自然から学ぶことが重要だ」「鹿児島の人たちが世界から尊敬される人になることが、そのまま環境を良くする道でもある。個々人の魅力が世界を動かすことになる」と感想を述べ、きわめて手ごたえのあるフォーラムとなった。
会長挨拶が、基調講演を兼ね、環境教育の必要性に関する『課題提起』を行った。
古木圭介会長が、観光事業、ヒマラヤ登山、国内各地の山の登山、経済活動等々、経験を生かし、パソコン(パワーポイント)を自由に操りながら、日本の少子化の反面、世界の人口増加、食糧危機、水資源の危機、エネルギー資源の枯渇等を解説し、地球環境の悪化を防ぐべく、『今何を学ぶべきか?』と問いかけた。
深尾兼好会員制作の力作『地球が危ない・未来のための環境教育』のビデオが紹介された。
言葉は何を意味するか。地球・自然と人の関わりの状況をいかに把握し判断するか。古来実施されてきた地域社会のしきたりを否定する必要があるのか。『こころ』という新しい観点と、変化する情報から『地球環境の現況と未来』の話題を提起した。
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コーディネーター: 南徹さん (鹿児島西ロータリークラブ) |
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吉武和臣さん (鹿児島西プロバスクラブ) |
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深尾兼好さん (鹿児島西ロータリークラブ) |
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山元 夕貴絵さん (IBS外語学院 学生・職員 GSE2008年度メンバー) |
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佃 三善さん (鹿児島西ローターアクトクラブ 鹿児島国際大学・学生) |
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宇都 寛高さん (鶴丸高校インターアクトクラブ 鶴丸高校・生徒) |
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池田 翔平さん (鹿児島高校 インターアクトクラブ 鹿児島高校・生徒) |
難しいテーマであったが、南徹氏のうまいリードは、会場をとりこにし、パネラーとフロアが一体となって、活発な話題を展開させた。原正親社会奉仕委員長(司会)の企画は大きな成果を挙げた。恒例により、川平建次郎副会長の閉会の辞(謝辞と新たな決意)で幕を閉じた。
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◆川平建次郎副会長 閉会の辞
世間では三世代という言葉が良く用いられますが、ロータリーの社会奉仕を考えるときに、世代を、@高校生あるいは18才未満、A社会人として駆け出しの18才から30才世代、B職業人として活躍している年代層、そして、C引退しても壮健な年代層という四つのグループ分けをしているのであります。
最近、わが国の世代間の交流は断絶しがちであり、国の歴史と伝統が疎んじられ、物事に対する先輩方の工夫が途切れがちであります。45年の歴史を持つ『鹿児島西ロータリー・クラブ』についても、多くの皆様は、その存在はご存知でも、どんな集団であるのかはほとんどご存知ないのかもしれません。
今日は、鹿児島西ロータリー・クラブが、『環境教育』を主たるテーマとして、お互いの世代が、何をどの世代で学ぶべきであろうかということを、確認しあってみようと、フォーラムが企画されました。企画を組み立てられた皆様、会場に足をお運びくださった皆様、最後まで奮闘してくださったパネリストの皆様、本当にありがとうございました。
何を知るにも、まず言葉とその意味、そしてその言葉を、どのような場面でどのように用いるか、そのためには、その言葉に絡んだ歴史と時代背景を把握することが必要でしょう。今日のディスカッションを聞いていて、皆様は、まさに当を得た言葉の使い方で聴衆を魅了されました。テーマは、大きく、また結論を必要とするようなものではありませんでしたが、多くの皆様の心に、新しい決意が生まれたものと信じています。大きな宿題が出ました。この決意を、誰に働きかけ、誰とともに、いかなる手順で実行に移すかが、今後のテーマです。肝に銘じて帰りましょう。
最後になりましたが、壇上とフロアが一体となって進められ、おかげさまで今日のフォーラムが有意義なものとなりました。長時間にわたるご協力、本当にありがとうございました。これにて閉会と致します。改めてありがとうございました。
◆原正親社会奉仕委員長 まとめ
ライラの開催を前に第3回4世代フォーラムの開催を決定し、社会奉仕・新世代・ローターアクト・インターアクトの各委員会参加の下、昨年11月より準備して参りました。
第1回4世代フォーラムでは『教育温故知新』をテーマに、島津義秀が「薩摩と郷中教育」と題して講演していただき、パネルディスカッションを致しました。
第2回4世代フォーラムでは『心の絆』をテーマに作文を募集。500名の応募の中から100名を入選とし文集を作成し、作文応募者も参加しパネルディスカッションを致しました。
今回(第3回)は、古木会長より「環境をテーマにしたい」と要請を受け、「学習会」や「4世代フォーラム実行委員会」において、『今、何を学ぶべきか・環境教育について考える』をテーマに掲げる事に致しました。
そこで、「本来何を学ぶべきか」、「真理とは」、「世代を超えて話し合おう」、「テーマが大きい為、結論が出なくても良い」等といった事を念頭に置きフォーラムを構成しました。
まず、@問題提起を兼ねた古木会長の開会の言葉。引き続いてA映像よる問題提起、これを受けてパネルディスカッション。以上の話題提起のもとに、
Bメイン・イベントとして、パネラーとフロアの競演による『ブレイン・ストーム』を展開。この三部構成でフォーラムを組み立てることにしました。
パネルディスカッションは、コーディネーター役の南徹会員、パネラーに鹿児島西プロバス・クラブ吉武和臣幹事、当クラブ深尾兼好会員、ローターアクト・クラブ佃三善幹事、GSE2008年度メンバー山元夕貴絵、鶴丸高校インターアクト・クラブ1年宇都寛高、鹿児島高校インターアクト・クラブ2年池田翔平の各氏によって構成しました。
*GSE : Group Study Exchange 研究グループ交換(ロータリー財団の教育的プログラム)
当日は、若い世代からベテラン世代まで約180名のご参加をいただきました。
玉利賢介幹事の開会の挨拶のあと、古木会長が「環境への提言」と題して、「日本及び先進国は経済効率だけで生きてきたのではないか。その結果、今人類が直面している自然環境破壊をもたらしたのではないか」と問いかけ、国際ロータリーの環境に対する取り組みについて紹介し、パワーポイント駆使しながら、映画『不都合な真実』『アース』の感想を述べ、ヒマラヤ登山で経験した6000mから見た氷河湖写真や、その他のデータで説明し、「私たち個人が今、何をしなければならないか」を問いかけました。
続いて深尾兼好会員等の力作、ビデオ映像による問題提起「地球が危ない」が行われました。
そして、パネルディスカッション。
1時間40分に及ぶ討論、本当にご苦労さまでした。コーディネーター南会員の鋭い問いかけが、とまどい気味であったパネラーの本音を引き出し、トークに花が咲きました。会場からの発言も活発でした。
「地球学を学ぶ事で、今の環境問題を判断するベースなると思う。」
「環境に良いとされることの本質を見ることが大切だ」
「都会に出て初めて自然豊かな鹿児島の良さを再認識した」
「地球は病気だ!その原因は人間というバイ菌だ!人が自然と共生する心を持てば解決するのではないか」
「人を愛すること 自然を愛すること」など、活発に世代を超える討論ができたのではないかと思います。」等々。
閉会にあたり、川平建次郎副会長の謝辞、ロータリーの社会奉仕をふまえて、なぜ3世代ではなく4世代なのかが説明されました。
最後に、会場の設営・運営に協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。
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和田 由紀子さん
万物の数だけ、真実がある。
「今、何を学ぶべきか」がテーマの今回のフォーラムで、多くの異なった視点をコーディーネーターの南徹学院長や、パネリストの方々から気付かされた。
果たして、世の中に絶対的、唯一的な真実など存在するのだろうか。何が正しいのか間違っているのか、見極めるのはひどく難しく、世の中は矛盾だらけだ。
今世間を騒がしている環境汚染やその対応策、高まりつつあるエコに対する意識とは裏腹に相変わらずの大量生産・大量消費の生活。
たとえば、日本が地球温暖化対策に投資している税金額は1兆円、リサイクルでは5千億円といわれている。
世の中が「CO2の減少」を理想に掲げている中、CO2は温暖化に影響しない、と学説を立てている人々も存在する。また、環境のために、と回収されているペットボトルはリサイクルされず、焼却して熱の再利用とされているのが現状という側面。
環境改善を最重要視する筈の京都議定書での「CO2排出権」というビジネスの展開。
カロリーベースで39%という低い日本の食料自給率も、むしろ輸入をストップした方が豊かな食生活になると考える人もいる。
「不都合な真実」は誰かにとっての「都合の良い真実」では、と考えることも少なくなかった。
ただその原因は、ひとりひとりが無関心になっていることにあるのではないか。周りの言葉に動かされ、自ら考えることを止めてしまってはいなかったのだろうか。
つい私たち人間は、大多数の意見が正しいかのように思ってしまう傾向にあるけれど、今こそ全体をみる力が、多方面から物事を見る視点が必要である。
違う考えを持つ人同士での議論、討論がまた新たな観点を生みだすだろう。
会場全体を巻き込んでのパネルディスカッションは、今まで植えつけられていた固定概念をまっさらな状態に戻してくれた。私たちはこれから、考えていかなくてはいけない。
すべての物事に、一片の真実が含まれていることを知った。
第3回4世代フォーラムの催されたかごしま県民交流センター大ホール会場後方では、国際ロータリー第2730地区 地区広報・雑誌・IT委員会企画による移動パネル展が同時開催された。鹿児島県内のロータリークラブすべてを写真とキャプションで紹介したもので、約20枚のパネルが設置された。訪れた人々の中には、フォーラム開催前・開催後などの時間に、パネル展示場まで足を運び、興味深く見入っている姿が見受けられた。 尚、移動パネル展は、各クラブによって持ち回りされており、今後も鹿児島県内の各地で展開される予定。宮崎県内でも開催中である。
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